【愛するということ】愛とは?恋とは?愛に必要な条件とは?(エーリヒ・フロム著)【内容と感想まとめ】
ようこそ!皆さん、こんにちは、とらよし(@moritora810)です!今日はエーリヒ・フロムの著書《愛するということ》のお話をしたいと思います。私は家に偶然この本があったのですが、もともと知ったのはNHKの100de名著という番組です。
それを見てから是非読んでみたいと思っていたら偶然家の本棚の奥から発見しました!正直に言って衝撃的な内容でした。愛するということについて、それがいったいどういう意味を持つのか深く考えさせられました。
今回は愛や恋の違いについて、また愛するということがどういうことなのか、本の内容を取り上げながら進んでいきたいと思います。時間の無い方は最後にまとめを用意しているのでそちらも読んでみてください!それではいざ、愛の世界へ!
【愛するということ】エーリヒ・フロム著
この本の中でまず述べられているのは愛の定義についてです。近年、我々はドラマや映画などで現れる、世間一般的で使われる「恋」が、「愛」と区別なく使われ、その境目がなくなってきていると述べています。
なぜ「真実の愛」だと思って結婚したはずなのに、結婚して数年後にはお互いが愛し合っていると言える夫婦が少ないのか?
その理由をフロムは、「恋」だけをして結婚した結果、「愛」が見落とされているからだと言っています。では一体、フロムの言う「愛」というのは何のことなのでしょうか?
「恋」と「愛」の違い(恋とは何か)
世間一般に出回っている恋愛本の多くは、「どうすれば他者から愛されるか」ということについて述べられています。それは、「人から愛されるためのスキル」、「どういう人が自分を幸せにしてくれるか」ということの知識などです。確かにこれらのことは「恋」においてはある程度意味があることかもしれません。
フロムの考えでは、「恋愛」は未熟な人間でも、本能的な側面で行うことができます。また、もし相手に不満があれば別れることができますし、仮に喧嘩したとしても再び仲直りすることもできます。これは、「相手が自分に」もしくは、「自分が相手に」、何らかの価値を感じているのであれば「恋」をしたまま付き合っていけるという意味です。
しかし結婚となると、そのパートナーと起こる様々な課題や、あるいは子どもについてのことなど、数多くの困難を共に乗り越えていかなければなりません。
人から「愛される」だけの受動的な態度しか取れない人間は、そのときに不平・不満を口にして問題を複雑にします。更に述べると、生物的に恋愛感情というものは3~4年ほどしか継続しないという話もあります。つまり「本能に頼って恋をする」というやり方は限界があるのです。
愛するということは何なのか?
フロムは著書の中で、「愛することはその人を愛すると決定するその決意である」と述べています。つまり、「愛」とは「この人を愛そう!」と自己決定するということなのです。では具体的に愛するというは一体どういうことなのでしょう?
フロムは著者の中で、「愛するということは自分の生命を与えることだ」と述べています。この生命とは、「自分の中に息づいているもの」のことです。相手に対して、自分の喜び、興味、理解、知識、ユーモア、悲しみなど、自分の中に息づいているもののあらゆる表現を与えること。これが「愛」だとフロムは述べています。
そして、「与えることによって、かならず他人の中に何かが生まれ、その生まれたものは自分に跳ね返ってくる。ほんとうの意味で与えれば、かならず何かを受け取ることになる」と言っているのです。個人的にはここの内容が真理すぎて泣けてきます。とても素敵な表現だと思います。
また、愛するということは、「相手を幸せにしたい」と思うことです。そしてそれは、「相手を成長させること」でもあり、その成長を促すのも、大切な愛の行動であると説いています。人間は幸せになるために成長が必要不可欠だとも述べています。
自分よりも相手を高めようと思うこと
自分の持っているものを相手に与えるということが「愛」であることが分かりました。ただし、ここで重要な点は、「自分がどう思われようと相手を幸せにしたい・与えたい」という条件がついていることです。
たとえば、自分が相手に認められたい、よく思われたい、だから何かをしてあげる、というのはフロムが言う「愛」とは異なります。相手が良くなるために、たとえ自分が嫌われててでも、厳しさと優しさを持って叱ったり諭したりできるかどうかということが問われているとフロムは述べています。
例えば、誰かが怠けていて、それをとがめれば相手は成長しますが、相手からは「嫌な奴だ」と思われることがあるかもしれません。それでも相手の成長を思って何か助言をしたり行動をするのが出来るかどうかが問われています。そしてその姿勢こそが「愛」であるとフロムは述べています。
また、もしあなとパートナーが本当に愛する関係なら、お互いがその様に高め合い、関係性は深くなっていくはずなのです。
愛には勇気が必要である
ここでフロムは続けて、「勇気を持って愛しなさい」と言っています。たとえば、誰かを愛したとします。ですがその人が自分を裏切るようなことがあるかもしれません。しかしそれは人間が弱いゆえにしょうがないことだとフロムは説きます。
そういったことをリスクとは感じず、それをも理解し許容する寛容さを持つこと。それが「愛すること」の出来る成熟した人間であると言っています。
また、私たちが生きている資本主義社会は、基本的には個人の利益を追求する社会構造です。そのため、この社会の中で利益を求めない「愛」にたどり着くことは難しいことだとも言及されています。
愛するには人格を成熟させなければならない
人を愛するには、自分自身が与えられるではなく、与える段階に達していないと、愛することはできないとフロムは説いています。そして愛するには以下の3つの要素が必要です。
- 勇気
- 強さ
- 知性
人格を成熟させるためには、誰かへの依存心や自己だけを愛するナルシシズム、あるいは他人を自分の為に利用したりする利己主義的な弱さを克服するところから始まり、その上で、自分自身が強くあろうとする態度と、日々成長を志すことが必要になってきます。
愛する人との関係性
パートナーとお互いに気を遣いながらやっていくという考え方もありますが、フロムはそういった浅はかな関係性はもろく、すぐに崩れてしまうと述べています。更に、そういった関係は相手と生涯他人のままの状態だと言及しています。
更に続けて、愛し合っているカップルというのは、互いが自律した一人の人間同士として、中心&中心という関係を築かなければならないと述べています。成熟した人間同士であれば、ありのままの自分として相手と向き合うことができ、お互いに相手の価値観やスタイルを認め合うことができるのです。
もしあなたが誰かと気を遣いながら生活しているのだとしたら、その関係性のままでは結婚をしたり、生涯寄り添うということが難しいということでしょう。愛を育み、成熟した関係を築いていくためには、お互いが相手を認め合う、どちらにも依存しない自律した関係性を目指さなければなりません。
「愛するということ」の実践
フロムは、「人間はとても弱いものだ」と言っています。その例は以下のような人たちです。
- 自分に何をしてくれるかで相手を見る人
- 見捨てられることの恐怖ゆえに他者に害をなす人
- 他者に認められなくては自己の存在価値を認めることができない人
- プライドが傷つけられた時にその補填として未熟な行動をとる人
- 他人は自分のために存在すると信じ、傷つけることも厭わないような、元々人を愛することが出来ない人
このことについてフロムは以下のように述べています。
実際のところでは、結婚するくらいの年齢でこれらの弱さを克服し、与えられる側ではなく、与える側に達している人はとても少ない。
それならその結婚が不幸せになるのかというとそうではなく、知性を持って自分の弱さを認識し、強くあろうとすることで人は幸せに向かっていけるとも励ましています。
このフロムの「愛するということ」は実践的な愛の指南書であり、人格の成熟に向かってそこへ向かっていく態度と姿勢、そして自分の決意が求められているといえるでしょう。
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本のまとめと感想
このフロムの「愛するということ」を簡潔にまとめれば次のような内容です。
- 「愛するということ」を主体性を持って決意するのが「愛」であり、それが愛の出発点である。
- 「愛するということ」はあなたの持っている生命を他者に与えること、あるいは一緒に共有することである。
- 「愛するということ」に見返りを求めない勇気を持つ。
- 「愛するということ」には人格の成熟が必要で、弱さを克服し、常に強くあろうとしなければならい
この著書は冒頭で次のようなことを述べています。
この著書で「愛」が何なのかについての答えが得られと思っている読者はがっかりするだろう。この本は「愛」を実践する方法についてしか書いてないからだ。
つまりこれはあなたが実践してはじめて愛の答えにたどり着くということなのです。そしてそれは生半可に簡単なことではありません。「愛するということ」はとても勇気のいる、そして強い人間ではないとできないことなのです。
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この内容を知って、大切な人をもっと大切にしたい、愛したいと思ってくれる人がいたのであれば幸いです。愛するには勇気がいりますが、一度愛を経験したことがある人はその素晴らしさを知っていると思います。世界に、そしてあなたと私に豊かな愛がありますように!それではまた!
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