「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)/ヘンデル」の歌詞対訳と解説【G.F.Händel】

2020年2月26日

「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)/ヘンデル」の歌詞対訳と解説【G.F.Händel】

皆さん、こんにちは!声楽家&ブロガーのとらよし(@moritora810)です。今回はイタリア古典歌曲にも乗っているヘンデル作曲の「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)の歌詞対訳と解説をお届けしたいと思います。この曲はゲオルク・フリードリヒ・ヘンデルが作曲したオペラ『リナルド』で歌われるオペラアリアです。

ヘンデルはヨハン・セバスティアン・バッハと同じ年である1685年に生まれたバロック期を代表する作曲家です。ドイツのハレ地方(ライプツィヒの横の方)で生まれた後に、イギリスに帰化して生涯を終えました。ちなみにヘンデルとバッハは生涯で一度も会ったことがないと言われています。

ヘンデルの代表的な作品としてはオラトリオである『メサイア(Messiah)』が有名ですが、意外にも彼は数多くのオペラを作曲しています。バッハがオペラを作曲しておらず、受難曲やカンタータと中心とした宗教音楽を数多く作曲しましたが、ヘンデルは劇場に適した作品としてオペラやオラトリオを作曲しました。ヘンデルのオラトリオはバッハのオラトリオとは異なり、ホールや劇場で上演されることを想定しています。そういったことを踏まえて、このバロックを代表する二人の作曲家を聴き比べるのも楽しかもしれませんね。

ということで、今日はヘンデル作曲の「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)」の歌詞対訳と解説をご紹介したいと思います。歌詞対訳はイタリア語/日本語として、イタリア古典歌曲集に記載されている対訳をもとにして訳しています。

「私を泣かせてください/ヘンデル」の歌詞対訳・和訳①

【Retitativo】/【レチタティーヴォ】
Armida, dispietata colla forza d’abisso/奈落の力を持った、情けを知らないアルミーダは
rapimmi al caro Ciel di miei contenti,/愛しい天上の喜びから私を奪い去り、
e qui con duolo eterno/そして、ここで永遠の苦しみを持った
viva mi tiene in tormento d’inferno./地獄の苦しみの中に私を生きたまま閉じ込めている。
Signor! Ah! per pietà lasciami piangere./主よ、ああ、お願いです、私を泣かせてください。

「私を泣かせてください/ヘンデル」の歌詞対訳・和訳②

【Aria】/【アリア】
Lascia ch’io pianga/私を泣かせてください、
la cruda sorte,/私の残酷な運命に
e che sospiri la libertà./そして、私が自由に恋い焦がれることを。

Il duolo infranga queste ritorte/その苦悩がこの鎖を砕きますように、
de’ miei martiri sol per pietà./私の苦しみに対する憐れみだけによって。

Lascia ch’io pianga/私を泣かせてください、
la cruda sorte,/私の残酷な運命に
e che sospiri la libertà./そして、私が自由に恋い焦がれることを。

「私を泣かせてください/ヘンデル」の解説

オペラ『リナルド(Rinald)』は1711年に作曲されたオペラです。今から300年以上前ですね。詩はジャコモ・ロッシのもので、歌唱はアルミレーナという女性が歌うアリです。この作品の原作は、トルクァート・タッソによる叙事詩、『解放されたエルサレム』がもとになっています。この台本は1099年の第一回十字軍によるエルサレム奪取が主な舞台です。内容としてはキリスト教徒の騎士とムスリムとの闘い、またキリスト教徒間での不和や後退、そして最終的には勝利が描かれています。しかし詩における重要部分は恋愛の歌です。

ただし、原作をオペラにする場合は台本は書き換えられることが多々あるので、今回は原作ではなくオペラ『リナルド』における歌唱シーンをご紹介したいと思います。

ひとまずこのシーンを理解するために押さえておきたい『リナルド』で重要な登場人物は以下の4名です。

  • リナルド…十字軍の兵士(主人公・タイトルロール)
  • アルミレーナ‥‥リナルドの恋人(この曲を歌う女性)
  • アルガンテ‥‥敵軍のエルサレム王
  • アルミーダ‥‥魔法使いでアルガンテの恋人

どんなシーンで歌うかを本当に簡潔に説明します。

  1. 敵軍のエルサレム王であるアルガンテの恋人であるアルミーダに騙されてアルミレーナが捕まる。
  2. アルミレーナがめっちゃ可愛いので愛人にならないかとアルガンテにしつこく迫られる。
  3. アルミレーナがそれを拒み、悲しみながらこの曲を歌う。

ということで、本当にポイントだけを述べるとこういう感じのシーンです。最初のレチタティーヴォのシーンでは、「奈落の力を持ったアルミーダ」というのは、魔女的な魔力のことですね。そして「天上の喜びから私を奪った」というのは、愛するリアルドと一緒にいる喜びのことでしょう。「閉じ込められている」というのは言葉の通り、囚われの身だからだと解釈するのが自然です。

オペラでは女性が歌う曲ですが、あまりにも有名な曲なので男声でもよく歌われることがあります。男声であれば三大テノールの1人であるホセ・カレーラスの歌唱なんかは絶品ですね!女性が歌ったものであればチェチーリア・バルトリが素敵だと思います。↓

ということで、今回はヘンデルが作曲したオペラ『リナルド』から「私を泣かせてください(Lascia ch’io pianga)/ヘンデル」の歌詞対訳と解説をお届けしました!このサイトでは他にも歌詞の対訳などがあるので、是非ご覧ください!それではまた!

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