「乾杯の歌(椿姫)/ヴェルディ」の歌詞対訳と解説【La traviata/G.Verdi】(イタリア語/日本語)

2020年2月26日

「乾杯の歌(椿姫)/ヴェルディ」の歌詞対訳と解説【La traviata/G.Verdi】(イタリア語/日本語)

どうも、こんにちは!声楽家&ブロガー&ボイストレーナーのとらよし(@moritora810)です。今回はイタリアのオペラ作曲家であるジュゼッペ・ヴェルディが作曲したオペラ『椿姫』から、「乾杯の歌」の歌詞対訳と解説についてお届けしたいと思います。私はオペラ『椿姫』を全幕通して何かの役を歌ったことはないのですが、ハイライトの演奏会でジェルモン役(アルフレードのお父さん)とドットーレ(医者)を歌ったことがあります。

乾杯の歌は、オペラの第一幕で全員で歌われるシーンなので、何度も歌ったことがあります。まずは簡単にですが、椿姫のストーリーを押さえておきましょう。

オペラ『椿姫』と簡単な粗筋

オペラ『椿姫』は、イタリアのオペラ作曲家であるジュゼッペ・ヴェルディによって作曲されたオペラです。彼は他にも『アイーダ』や『マクベス』『シモン・ボッカネグラ』など、数多くのオペラを作曲していますが、『椿姫』は彼の代表作であり、現在でも世界中で最も人気のあるオペラの一つです。

しかし、このオペラの初演は大失敗に終わったと言われています。これは丁度オペラというものが過渡期を迎えていた頃の作品だからです。特に最後に人が死ぬようなオペラは当時あまり好まれなかったのが原因と言えるでしょう。同じようにビゼー作曲の『カルメン』も同じような経緯をたどっています。

さて早速『椿姫』のあらすじを見ていきましょう。椿姫の舞台はパリです。青年貴族であるアルフレードは、パリ社交界の華・ヴィオレッタに恋をします。ヴィオレッタは高級娼婦です。彼女は仕事柄、本物の愛を信じれずにいました。

しかし、青年アルフレードの情熱的な愛と求愛で、ヴィオレッタは真実の愛を見つけます。しかし、貴族の出身であるアルフレードの父親ジェルモンは息子と高級娼婦との交際を認めようとしません。ジェルモンの計らいによって、二人は引き離されてしまいます。

最終的に、二人は困難を乗り越え再開を果たしますが、そのときヴィオレッタは結核で命を落とす直前でした。アルフレードの腕の中で、ヴィオレッタは息を引き取りオペラは幕を下ろします。これが簡単な椿姫のストーリーです。

今回解説する「乾杯の歌」は、第一幕の冒頭で歌われます。ヴィオレッタの家で開かれている豪華な社交界場で、青年アルフレードが乾杯の音頭を取るシーンです。この場面では、まだ二人は恋に落ちていません。華やかな社交界の雰囲気を見事に表現した一曲と言えます。それでは続いで乾杯の歌の歌詞対訳を見ていきましょう!歌詞はリコルディ版の楽譜をもとに訳しています。

「乾杯の歌(椿姫)/ヴェルディ」の歌詞対訳①

【ALFREDO】/【アルフレード】
Libiam ne’ lieti calici che la bellezza infiora,/乾杯しよう、美しさが飾りたてる喜ばしい杯に、
E la fuggevol ora s’inebri a voluttà./そして、つかの間の時が喜びに酔いしれるように。
Libiam ne’ dolci fremiti che suscita l’amore,/乾杯しよう、愛が引き起こす甘美な身震いの中で、
Poiché quell’occhio al core onnipotente va./なぜなら、あの目が絶大な力を持って心に向けられるからです。
Libiamo, amor fra i calici/乾杯しよう、愛は杯の間で、
Più caldi baci avrà./より熱い口づけを手に入れるだろう。

【TUTTI】/【全員】
Libiamo, amor fra i calici/乾杯しよう、愛は杯の間で、
Più caldi baci avrà./より熱い口づけを手に入れるだろう。

「乾杯の歌(椿姫)/ヴェルディ」の歌詞対訳②

【VIOLETTA】/【ヴィオレッタ】
Tra voi saprò dividere il tempo mio giocondo;/あなた方となら、私の愉快な時間を分かち合うことができるでしょう。
Tutto è follia nel mondo ciò che non è piacer./この世のすべては狂気なのです、喜びでないものは。
Godiam, fugace e rapido è il gaudio dell’amore;/楽しみましょう、愛の喜歓は束の間で、そして一瞬なのです、
È un fior che nasce e muore,né più si può goder./それは生まれては枯れる一輪の花で、もう楽しむことができないのです。
Godiam c’invita un fervido accento lusinghier./楽しみましょう、燃えるような喜ばしい言葉が私たちを招くのです。

【TUTT】/【全員】
Godiam la tazza e il cantico la notte abbella e il riso;/楽しみましょう、盃と賛歌を、夜が素晴らしくなるように、
In questo paradiso ne scopra il nuovo dì./この楽園の中で新たな一日が私たちに現れますように。

「乾杯の歌(椿姫)/ヴェルディ」の歌詞対訳③

VIOLETTA】/【ヴィオレッタ】&【ALFREDO】/【アルフレード】
La vita è nel tripudio./人生は歓喜の声の中にあるのよ。【V】
Quando non s’ami ancora./まだ恋をしていないときは。【A】
Nol dite a chi l’ignora./それを知らない者にそんなことを言わないでください。【V】
È il mio destin così/私の運命はこのようなのです。【A】

【TUTTI】/【全員】
Godiam la tazza e il cantico la notte abbella e il riso;/楽しみましょう、盃と賛歌を、夜が素晴らしくなるように、
In questo paradiso ne scopra il nuovo dì./この楽園の中で新たな一日が私たちに現れますように。

「乾杯の歌(椿姫)/ヴェルディ」の解説

先ほど粗筋で、椿姫の舞台がパリであることを書きましたが、なぜそういうことが分かるかと言えば、作曲者であるヴェルディは楽譜(スコア)にきちんと時代背景や舞台背景を記載しているのです。

『椿姫』についてもう少し見ていくと、時は1850年後、1幕の季節は8月、2幕の季節は1月、3幕の季節は2月となっています。例えば、3幕でヴィオレッタは結核でなくなるわけですが、それは一番寒さが厳しい2月に設定されているのも納得です。また、8月はやはり暖かく陽気な気候ですので、恋が芽生えるのに最適な時期と言えるでしょう。

さて、歌詞対訳を見ていくと、特にヴィオレッタのキャラクターがこの歌で明らかになります。ヴィオレッタが歌い出してから二行目と三行目は「Godiam, fugace e rapido è il gaudio dell’amore;/楽しみましょう、愛の喜歓は束の間で、そして一瞬なのです、È un fior che nasce e muore,né più si può goder./それは生まれては枯れる一輪の花で、もう楽しむことができないのです。」となっていますね。

これはヴィオレッタが永遠の愛、いわゆる真実の愛を信じていないことを表しています。そしてそのヴィオレッタがついに真実の愛を、愛すべき人を見つけたのにも関わらず病気で命を落とすという物語のストーリーがこのオペラの核になるとこでしょう。

ちなみにこの乾杯の歌で使われるお酒は、もちろんワインやシャンパンといった洋酒ですね。曲の歌詞の意味が分かると聴いた時の感じ方も違って来るので、是非楽しみながらこの曲を聴いて見てください!またこちらのサイトでは他の有名な曲も歌詞対訳があるので、気になる曲があれば是非チェックしてみてください!

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