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オペラ歌手ディミトリー・ホロストフスキーに寄せて。

どうも、Torayoshiです。今朝何気なくTwitterを見ていたらオペラ歌手のディミトリー・ホロストフスキーの訃報が…。

彼がどれほど凄いのかを語るのは難しいですが、例えばオペラを勉強している人は声種別に分類して、ソプラノ、メゾソプラノ、アルト、テノール、バリトン、バスがいるんですけど、彼はそういった声種の垣根を越えて、全てのオペラを勉強する人が知っているような大スターでした。

バリトンな私は彼のCDをずっと聴いてた時期ももちろんあります。今日は彼について偲びつつ、少し思考をアウトプットしました。

ディミトリー・ホロストフスキー(Dmitri Hvorostovsky)

ディミトリー・アリェクサンドロヴィチ・フヴァラストフスキィ(Дмитрий Александрович Хворостовский, Dmitri Hvorostovsky, 1962年10月16日 - 2017年11月22日)は、1962年生まれ、ロシアのクラスノヤルスク市出身のバリトンオペラ歌手です。

クラスノヤルスク芸術学校に学び、クラスノヤルスク・オペラ・ハウスで《リゴレット》のモンテローネ役でデビューします。1989年にイギリスのBBCカーディフ国際声楽コンクールで優勝したのですが、その座をかけてブリン・ターフェルとの争いになったのは有名です。その後すぐにリサイタルを開始し、1989年ロンドンで、1990年ニューヨークでデビューしました。

イタリアでのオペラデビューはフェニーチェ劇場でのチャイコフスキー《エフゲニー・オネーギン》で、アメリカでのオペラデビューはシカゴ・リリック・オペラの《椿姫》でした。ホロストフスキーは世界の主要なオペラハウスで演じ、メトロポリタン歌劇場(1995年デビュー)、コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス、ベルリン国立歌劇場、スカラ座、ウィーン国立歌劇場で歌いました。

当たり役は《エフゲニー・オネーギン》のオネーギン役で、ニューヨーク・タイムズ紙は「彼はこの役を演じるために生まれてきた」と評したそうです。

ということで、経歴を見ればわかる通り、もうめちゃくちゃトップ街道を歩んできているわけです。ロシアの大統領であるプーチンさんも彼のファンだと公言しています。

彼の何がそんなに凄いのかというと、まずはその技術でしょう。特にブレスがめちゃくちゃ長い!彼の歌うロドリーゴのアリアとか、どこまで伸ばすんだっていう感じで長く歌います。ブレスがめちゃくちゃ長いとどうなるかというと、音楽的なフレーズを長く取ることができます。それは時間を取り扱う音楽において非常に優位性を持っており、感情や緊張を途切れさせることなく音楽を聴かせることが出来るんですね。

伝説的なピアニスト・ホロヴィッツは、「優れた音楽家の条件は長いフレーズを演奏できること」と言っていますが、まぁそれに繋がるわけです。もちろん生まれ持った声がめちゃくちゃカッコいいというのもあります。とにかく我々は偉大な歌手を失ったわけです。

クラシックの歌手は芸術家なのか

よく話題になるテーマとして、「オペラ歌手って芸術家なの?」という問題があります。

というのも、クラシックの歌手というのは自分で音楽を作曲しておらず、既存の作品を演奏するからです。芸術家というと、何かを創造する・生み出すというイメージが強いのでそういった疑問が噴出します。美術系の人であると絵を書いたり、作品を自分で創作するのでイメージしやすいです。また音楽の分野でも、作曲家は音楽を創造しているという点で音楽家であり芸術家であるというイメージがしやすいと思います。

しかし歌手は既存の曲を演奏するためそういったことが言われることが稀にあるのです。しかしここで少し説明をすると、クラシック音楽の分野において、作曲家は創造芸術家、奏者は再現芸術家と言われることがあります。つまり認識として、我々奏者は再現芸術をしているということになります。それは、シェイクスピアの戯曲を上演するのに生きた役者が必要であったり、歌舞伎を上演するのにも歌舞伎役者が必要であるとかいう意味合です。それと同様に、古い音楽(クラシック)を再び上演するには、正しい技術を持った奏者が音楽を具体的に再現しなければなりませんもう少し突っ込んで言うと、どんな素晴らしい絵画も、今生きる人たちが美術館に展示をして誰かが見に行かなければ、それは本当の意味で生きた芸術として人の心に存在しないということです。

素晴らしい芸術家は記憶に残る

私がはじめて買ったクラシックのCDは三大テノールのコンサートでした。それは今は亡きパバロッティを筆頭として、本当に魅力いっぱいで夢がつまった音楽でした。

パバロッティはそのキャラクターからも、多くの人の記憶に残る偉大な歌手で、多くの人がまだ覚えているだろうと思います。彼は私が丁度歌を勉強しはじめた約10年前に亡くなりました。

しかし、亡くなった今でも私はことあるごとにパバロッティを聴いていますし、歌を勉強している人は何かの音源で一度は耳にしたことがあるはずです。そういった意味でも、彼の再現した音楽・芸術は亡くなってからも尚人々の心に残っていると言えます。それはパバロッティが本物の技術を持ってクラシック音楽を再現した証拠ではないでしょうか。


思うこと

私は今朝亡くなったホロストフスキーさんを生で聴いたことはありません。パバロッティさんも同様です。これは時代が100年も昔であれば、単純に「その地域の素晴らしい歌手が亡くなった」という具合です。

しかし、インターネット等の情報ツールが普及したことで、我々は世界で一番良質な歌手や奏者を認知し、メディアを通していとも簡単に演奏を聴くことができるようになりました。私はそれと比例して世界全体の演奏レベルが上がってもいいのだろうと思うのですが、今日の日本声楽界のレベルは世界、特に隣国である韓国や中国と比較しても、決して高いとは言い切れません。再現芸術家である我々奏者は、もし演奏の質が高くなければ忘れ去られる運命にあります。

というのも作曲家であれば具体的に楽曲を残すことができますが、我々奏者は物質的に何か存在を残すことができないからです。しかし、我々演奏家が日々良質の演奏を目指し、芸術を追求していれば、きっと聴衆の心の中に、本物の感情や余韻を深く刻み込むことができるのではないかと思います。

結局何が言いたかったのかというと、「彼が追い求めた高みを私も追及していきたい」「追及していかなければならないんだ!」という抱懐と決意をここに書き留めておこうと思ったのでした。そして、そうやって頑張る人が増えれば増えるほど日本声楽界は発展し、世界に良い影響を与えていけるのではないかと思うのでした。

最後にホロストフスキーさんのご冥福を心よりお祈りいたします。



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