コロナウイルスでパラダイムシフト(転換)は起きるのか?【時代が変わる?】
どうも、こんにちは!声楽家&ブロガー&ボイストレーナーのとらよし(@moritora810)です。最近はどこをみてもコロナウイルス・新型肝炎の話題ばかりですね。私はあまり影響がなかったのですが、ついに今月開催が予定されていた演奏会の延期が決まりました。普通に収益が下がるので、こまったものですね。
さて、そんな話はさておき、今日は表題の件について考えていきたいと思います。それは新型肝炎、新型コロナウイルスによって世界にパラダイムシフトが起きるのかということです。パラダイムシフトって何?と思った方は、是非続きを読んでみてください。新しい発見があると思います!
新型肺炎コロナウイルスとは?
パラダイムシフトについて解説する前に、新型肺炎コロナウイルスについて簡単にまとめておきたいと思います。コロナウイルスは哺乳類や鳥類に病気を引き起こすウイルスです。人間に感染すると、風邪などの症状を含む呼吸器感染症を引き起こします。特に年配の方や病気持ちの方は重篤な症状になることが多いようです。
厚生労働省が発表した指針によると、37.5℃以上の熱が4日以上続く場合などは感染の疑いがあるようです。中国の武漢を起点として発生したと言われていますが、ウイルスを分析した結果、発生源についてはアメリカなのではないかという話もあるようです。ただし真偽のほどは不透明です。
現在は中国、韓国、日本を含むアジアとヨーロッパではイタリアなどで特に多くの感染者が確認されています。いくつかの都市ではロックダウン(都市の閉鎖)も行われており、これが特に日本の首都圏でおきないとも限りません。世界での感染者は2020年3月26日現在で40万人を超えたそうです。
日本での影響
日本での影響は皆さんもご存知の通り、マスクが店頭から無くなったり、デマによってトイレットペーパーの買い占めが起こったり、政府の要請によって大規模イベントの自粛、公演中止が起きています。実際、私も演奏会が延期になってしまいその影響を受けています。
日本は3.11の東北大震災を経験していますが、あの影響は特に東北や関東の一部のみで、日本全体とはいえませんでした。しかし今回は国全体、あるいは世界全体がこのコロナウイルスについて対応をしています。
ここにきて多くの人は、どんなに経済を優先させようとしても、天災や災害が起きた時にはそれが最も優先されるということを感じているのではないかと思います。つまり命あっての物種というわけですね。そして私は、これこそが世界や集団単位でのパラダイムシフトを生むのではないかと思うわけです。
パラダイムシフト(パラダイム転換)とは?
それではパラダイムシフト、パラダイム転換とはなんでしょうか?もしあなたがスティーブン・コビン氏が書いた「7つの習慣」という本を読んだことがあれば既にご存知だと思います。
パラダイムシフトを理解するには、まず「パラダイム」について知る必要があります。パラダイムとは一般的に述べると世界を見る見方、あるいは私たちの認識、理解、解釈を決めるもののことです。その本ではパラダイムを地図に例えています。地図はその場所を書き記したアイテムですが、実際にその場所そのものであることとは別です。
パラダイムという地図
つまり、私たちは誰でも頭の中に様々なパラダイム(地図)を持っています。物事は「こうだ」あるいは「こうあるべきだ」と思っているものです。しかし、実際にそれはその場所そのものとは異なります。つまり、これは各個人が作成した地図(パラダイム)によって周囲の物事をそう捉えたり考えたりしているということです。
私たちはあらゆる経験を、こうした地図をもとに解釈を行います。つまり、自分の価値観を映し出した「指針となる地図(パラダイム)」を誰しもが持っているというのです。そして、私たちのパラダイムは所属する社会の通念や体系、宗教、習慣、語学、教育などによって既に構築されています。
パラダイムシフト・パラダイム転換のエピソード①
つまり、パラダイムシフト・パラダイム転換とは、そういった自分の持っている地図を書きかえる、新しい地図を持つと言うことです。具体的にパラダイムシフトを知るには以下のようなエピソードがあります。
ある日曜日の朝、ニューヨークの地下鉄で体験した小さなパラダイム転換を、私は忘れることができない。乗客は皆、静かに座っていた。ある人は新聞を読み、ある人は思索にふけり、またある人は目を閉じて休んでいた。すべては落ち着いて平和な雰囲気であった。
そこに、ひとりの男性が子供たちを連れて車両に乗り込んできた。すぐに子供たちがうるさく騒ぎ出し、それまでの静かな雰囲気は一瞬にして壊されてしまった。
しかし、その男性は私の隣に座って、目を閉じたまま、周りの状況に全く気がつかない様子だった。子供たちとはといえば、大声を出したり、物を投げたり、人の新聞まで奪い取ったりするありさまで、なんとも騒々しく気に障るものだった。ところが、隣に座っている男性はそれに対して何もしようとはしなかった。
私は、いらだちを覚えずにはいられなかった。子供たちにそういう行動をさせておきながら注意もせず、何の責任もとろうとはしない彼の態度が信じられなかった。周りの人たちもいらいらしているように見えた。私は耐えられなくなり、彼に向かって非常に控えめに、「あなたのお子さんたちが皆さんの迷惑になっているようですよ。もう少しおとなしくさせることはできないのでしょうか」と言ってみた。
彼は目を開けると、まるで初めてその様子に気がついたかのような表情になり、柔らかい、もの静かな声でこう返事をした。
「ああ、ああ、本当にそうですね。どうにかしないと……。たった今、病院から出て来たところなんです。一時間ほど前に妻が……。あの子たちの母親が亡くなったものですから、いったいどうすればいいのか……。子供たちも混乱しているみたいで……」
その瞬間の私の気持ちが、想像できるだろうか。私のパラダイムは一瞬にして転換してしまった。突然、その状況を全く違う目で見ることができた。違って見えたから違って考え、違って感じ、そして、違って行動した。今までのいらいらした気持ちは一瞬にして消え去った。自分のとっていた行動や態度を無理に抑える必要はなくなった。私の心にその男性の痛みがいっぱいに広がり、同情や哀れみの感情が自然にあふれ出たのである。
「奥さんが亡くなったのですが。それは本当にお気の毒に。何か私にできることはないでしょうか」
一瞬にして、すべてが変わった。
スティーブン・コビン著作「7つの習慣」インサイド・アウト(内から外へ)26~27ページ
これがパラダイム転換・パラダイムシフトです。誰にでも一度は類似した経験があるのではないかと思います。あるパラダイムを知り、ものの見方が大幅に変わるような経験です。
結局のところ、私たちは自分の持っているパラダイム(地図)によって今目の前で起きている物事を感じ、考え、処理します。しかし私たちはこのようにパラダイムシフトを行うことができます。続いて、もう1つのエピソードを見てみましょう。
パラダイムシフト・パラダイム転換のエピソード②
訓練艦隊に属する二隻の戦艦が、悪天候の中、軍事演習のため数日間にわたり航海を続けていた。私は先頭を行く戦艦のブリッジで夕暮れを迎えた。視界が悪く断片的に霧がかかっていたため、艦長もブリッジに残り、状況を見守っていた。
暗くなってから間もなく、ブリッジの見張りが次のように報告した。
「艦首の右舷側の進路に光が見えます」
「停止しているのか、船尾の方向に動いているのか」と艦長。
「停止しています、艦長」
つまり、その船はこちらの進路上にあり、衝突の危険があるということだった。艦長は信号手に命じた。
「その船に対し、信号を出せ。衝突の危険があるため、20度進路を変更せよ、と」
相手からの信号が返ってきた。「そちらの方が20度進路を変えるよう助言する」
艦長は再び命令した。「信号を送れ。私は艦長だ。20度進路を変えるように」
すると、「こちらは二等水平だ。そちらの方こそ20度進路を変えるように命令する」と返事が返ってきた。
艦長は怒り出し、「信号を送れ。こちらは戦艦だ。20度進路を変えろ」と叫んだ。
点滅する光の信号が返ってきた。
「こちらは灯台である」
我々は進路を変えた。
スティーブン・コビン著作「7つの習慣」インサイド・アウト(内から外へ)29~31ページ
私たちは物事を思いこんだり、「こうあるべきだ」と思い行動を起こします。しかし、実際にこの世の中は様々なパラダイムが存在しており、一概に何かを決めたり、正しさを主張することがいかに愚かなことか分かるはずです。
ちなみに「7つの習慣」では、どのようなパラダイム(地図)を持っていると人格的な成熟や成功にたどり着くかが書いてあります。興味のある方は是非一度読んでみてください。本当におすすめの書籍です。
人類は何度もパラダイムシフトを経験している
歴史的な観点からパラダイムシフトについて考えて見ましょう。例えばその昔、この世界は地球が宇宙の中心で天が動いているという「天動説」が広く信じられていました。
しかし、コペルニクスが太陽を宇宙の中心におき、地球が動いているという「地動説」を唱えます。彼は迫害にあいますが、それでもその論理を主張し続けて、最終的にはパラダイムシフト・パラダイム転換をもたらしました。その結果、突如としてあらゆることに違う解釈がなされるようにあったのです。
おなじようにニュートンの物理学のモデルは規則正しいパラダイムとして工学分野の基礎を築きました。しかし、彼の理論は不完全でした。その後、アインシュタインが相対性理論というパラダイムを打ち出して、科学界は大きな変革をもたらします。それによって自然現象の予測や説明の正確さが飛躍的に向上しました。これも歴史的なパラダイムシフトの例といえるでしょう。
パラダイムシフトは起こるのか?
最初にあげたパラダイムシフト(転換)のエピソードは急激な変化でしたが、上記のようなパラダイムシフトは時間をかけて、検証されながらゆっくりと起きたものです。これは個人単位で起きるパラダイムシフトもあれば、家族、地域、組織、会社、社会、国、世界単位で起きるものまであります。
それらが外的な圧力でパラダイムシフトが起きるというのは、今回のような疫病や自然災害、紛争等によるものでしょう。
私たちはどれだけ社会的な営みや思考をし続けても、生物という枠組みから抜け出すことが出来ないため、生命の危機にさらされるようなことが起きればパラダイムを強制的にシフトせざるを得なくなるのですね。
既存の価値観が破壊されるとき新しいパラダイムへの転換がはじまる
まさに今回のような事態は、生命の危機、あるいはフリーランサーたちが仕事がなくなって死活問題に直面するということそれ自体がパラダイムシフトを促す要因になりえます。
例えば、どこにコロナウイルスの感染者がいるか分からない状態で満員電車に乗らなければいけない人たちは、この記事を読まずとも自分の仕事やライフスタイルについて考えざるを得なくなるでしょう。
音楽家や役者などのフリーランサーも、こういった事態になれば音楽や舞台という仕事はなくなることが分かったわけですから、どうすれば違うインカムを得られるか考えざるを得ません。つまり、既存の価値観に疑問を持つことが新しいパラダイムを見つけるきっかけになります。
https://torayoshi.net/post-3255/3255/
左脳から右脳へ
私たちの脳は左脳でより理性的な物事を考えたりしていると言われています。これはいわゆる男性脳という言われ方もします。社会や資本主義、合理性、都市などがこちらに属すると言っても良いでしょう。
それにたいして右脳は感情や直観をつかさどる脳です。こちらは女性脳と言われることもあります。今回の新型肝炎・コロナウイルスの影響で、都市よりも田舎の優位性(人が少ない・物資が豊富など)が目に見えて明らかになりました。また、経済第一主義でやっていたところはもうどうしようもなくなっています。
これもやはり新しい価値観を持ってそこに対処していかなければ、厳しい時代がやってくるでしょう。お金を稼げば勝ち組とか、資本主義万歳といった価値観や時代は今後変化していくのではないでしょうか?これについては以下の記事で詳しくまとめています。
愛のあるパラダイムへ転換することを祈って
私たちは人と関わりながら生活を営み、仕事をして生きています。もしパラダイムシフトが起きるとすれば、もちろんそれが良い方向に行くことを心から望んでいます。具体的にそれが何かと言えば、先ほども少し触れた経済や集団、社会を主体としない全体の構造や体系です。もう少し述べると人格や個人の主体主義と言えるでしょう。
それは稼ぐことや働くことを否定していることとは異なります。仕事をする中で、人間の尊厳を大切にし、私生活やプライベートの充実、人格の成熟、他者への愛情、コミュニケーションが重要視される時代になればと思います。そういった時代が来れば、私たちは集団の犠牲になることなく、個人の尊厳を保ちながら生きていくことができるでしょう。
最後に、このコロナウイルスがいち早く終息すること、また感染された方が早期回復すること、既に亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。