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『フィガロの結婚』のあらすじと解説!W.A.モーツァルト作曲

『フィガロの結婚』のあらすじと解説!W.A.モーツァルト作曲

モーツァルトのオペラの中でも『フィガロの結婚』は非常に人気があります。しかしその一方、登場人物の多さや複雑なストーリー展開が原因で初心者に敬遠されているのも事実です。そこで今回は『フィガロの結婚』のあらすじや登場人物について解説していきたいと思います。

オペラ『フィガロの結婚』とは?(モーツァルト作曲)

『フィガロの結婚』とは、モーツァルトとイタリア人台本作家のロレンツォ・ダ・ポンテが共同で制作したオペラです。伯爵の家来であるフィガロと、女中のスザンナの結婚の日に起こった騒動が描かれており、モーツァルトのオペラの中でも最高傑作だと言われています。

『フィガロの結婚』の原作は?

『フィガロの結婚』の原作は、フランスの劇作家ボーマルシェの『フィガロの結婚、またはおかしな1日』という戯曲です。

この戯曲は三部作『セビリアの理髪師』『フィガロの結婚』『罪ある母』の2作目にあたります。

フィガロの助けで伯爵夫妻が結婚したこと、バルトロが独身だった伯爵夫人に恋をしていたことなどは前作の『セビリアの理髪師』に登場する話です。『フィガロの結婚』の劇中では説明されていませんが、この設定を頭に入れておくと、『フィガロの結婚』を理解しやすくなります。

『フィガロの結婚』の主な登場人物紹介

 

オペラ『フィガロの結婚』の主な登場人物を紹介します。フィガロの結婚では、登場人物の階級やキャラクターがハッキリと分かれています。

主役はフィガロではない?

タイトルは『フィガロの結婚』ですが、フィガロを主人公だと思って見ると違和感を感じるかもしれません。物語の主軸は伯爵夫妻の夫婦関係なので、それにスザンナやフィガロ、他の登場人物がどのように関わっていくのかに着目するとよいでしょう。

アルマヴィーヴァ伯爵(バリトン)

スペインのとある地方の領主。領主が花嫁と一夜を過ごすことができる「初夜権」という権利を廃止しました。しかし最近は美しいスザンナに熱を上げており、初夜権を復活させようと目論んでいます。

アルマヴィーヴァ伯爵夫人(ソプラノ)

その昔、伯爵の熱烈な求愛を受けて伯爵と結婚した令嬢。しかし近頃は、夫の愛情が冷めてしまったことをいつも嘆いています。

スザンナ(ソプラノ)

伯爵の屋敷の女中。フィガロの婚約者。伯爵に言い寄られてうんざりしており、フィガロや伯爵夫人と共に伯爵を懲らしめる計画に乗る。伯爵夫人と同じソプラノの役柄ですが、「スーブレット」と呼ばれる機知に富んだ小間使い役を得意とするソプラノが演じます。

フィガロ(バリトン)

伯爵の家来で、伯爵夫妻を結婚に導いた立役者です。しかし伯爵がスザンナに手を出そうとしていることを知り、伯爵に仕返しをしようとします。「バリトン・ブッフォ」と呼ばれる、コミカルな役柄が得意なバリトン歌手が演じます。

マルチェリーナ(メゾソプラノ)

伯爵家の女中頭で、借金を盾にフィガロに結婚を迫っています。バルトロとは元夫婦の関係。

バルトロ(バリトン)

医師。フィガロのせいでロジーナ(伯爵夫人)を伯爵に取られたことを根に持っており、フィガロへの復讐を企んでいます。

ケルビーノ(メゾソプラノ)

伯爵の小姓で、多感な時期の美少年。屋敷の女性という女性が気になっており、特に伯爵夫人に熱を上げています。女性が男性の役を演じる「ズボン役」という役柄で、メゾソプラノかアルトが演じます。

『フィガロの結婚』のあらすじを幕ごとに解説!

『フィガロの結婚』のあらすじはとても長い上、4幕ではスザンナと伯爵夫人が入れ替わるなど複雑な構成になっています。人物の特徴や幕ごとのポイントを押さえながら理解していきましょう。

『フィガロの結婚』第1幕の粗筋

第1幕は、『フィガロの結婚』の登場人物が次々に登場してくる自己紹介のようなパートです。ここで各登場人物の名前と特徴をしっかり把握しておきましょう。

波乱の1日の開幕

今日はフィガロとスザンナの結婚式。フィガロが伯爵に頂いたベッドが入るかどうか確かめていると、スザンナは伯爵が自分に下心を持っていると言い出しました。それを聞いたフィガロは怒りを露わにします。

一方、マルチェリーナはフィガロに金を貸していることを利用し、フィガロと結婚しようと企んでいるのでした。フィガロを恨んでいるバルトロは、自分も協力しようと言います。

恋に恋する少年ケルビーノと噂好きのバジリオ

マルチェリーナ達が去ると、今度はケルビーノが部屋に入ってきます。伯爵に追われているケルビーノがスザンナに助けを求めていると、当の伯爵がやってきてしまいました。ケルビーノは慌てて部屋に置いてあったイスの後ろに隠れます。

部屋に入ってくるなりスザンナを口説く伯爵。すると今度はバジリオがやってきます。慌てた伯爵が隠れたのは、何とケルビーノが隠れているイスでした。ケルビーノはイスの前側に回り、スザンナは持っていた部屋着をかけてケルビーノを隠します。バジリオが、「ケルビーノが夫人に思いを寄せているらしい」と話すと、伯爵は激怒。イスの影から姿を現し、ケルビーノを隠していた部屋着を取ってしまったのです。

その時、初夜権廃止を称えながらフィガロと農民たちが部屋に入ってきました。伯爵は、農民たちを何とか部屋から追い出すと、ケルビーノに罰としてセビリアの軍隊へ行けと命じます。フィガロは「出発する前に話がしたい」とこっそりケルビーノに耳打ちしました。

『フィガロの結婚』第2幕の粗筋

第2幕はついに伯爵夫人が登場します。ケルビーノとスザンナの動きを追っておくと、ストーリー展開について行きやすいです。

伯爵夫人登場。ついに作戦が動き出す

スザンナと共に伯爵夫人の部屋に呼ばれたフィガロは、夫人に伯爵を懲らしめることを提案します。フィガロが考えた作戦は伯爵を逢引きに誘い、実際にはスザンナではなく女装させたケルビーノを向かわせて、その現場を伯爵夫人が押さえるというものでした。

さっそくケルビーノを着替えさせようとしますが、その最中に出かけていた伯爵が戻ってきてしまったのです。ケルビーノは慌ててクローゼットに隠れます。部屋に鍵が掛かっていたことを怪しむ伯爵は、無理やりクローゼットをこじ開けてやろうと、夫人を連れて道具を取りに部屋を出て行きました

しかしクローゼットをこじ開けると、そこから出てきたのはスザンナ。中に入っていたケルビーノは伯爵が道具を取りに部屋を出た隙に、バルコニーから飛び降りて逃走していました。伯爵は夫人に慌てて疑ったことを謝罪します。

『フィガロの結婚』第3幕の粗筋

2幕ではケルビーノの変装作戦が失敗に終わりました。3幕では新しい作戦が提案されるので、しっかり把握しておくと4幕以降の混乱を防ぐことができます。

伯爵夫人の提案

伯爵夫人はスザンナを呼び出すと、何と自分がスザンナに変装して伯爵との逢引に行くと言い出したのです。スザンナが伯爵をおびき出すために逢引きに誘うと、伯爵は有頂天になります。

運命の裁判

フィガロは裁判にかけられ、借金を払うか、マルチェリーナと結婚するかの二択を迫られます。しかし裁判の最中、フィガロはマルチェリーナとバルトロの間にできた子どもだったことが判明。実の息子との再会にマルチェリーナとバルトロは抱き合って喜びます。

伯爵夫人の部屋にスザンナがやってくると、伯爵夫人は伯爵への手紙をスザンナに書かせます。さらに自分の髪につけていたピンで手紙に封をし、返事の代わりにピンを返すように手紙に書き加えさせました。そしてついに開かれた結婚式の最中、スザンナはどさくさに紛れて伯爵に手紙を渡します。

『フィガロの結婚』第4幕の粗筋

3幕で、今度は伯爵夫人がスザンナに変装するという作戦に変更になりました。フィガロはこの作戦のことを知らないということを頭に入れておきましょう。

夜の庭の大混乱

式の後、バルバリーナはフィガロに「伯爵からスザンナに渡すように言われたピンをなくしてしまった」と言いました。フィガロは伯爵とスザンナが逢引しようとしているのだと勘違いし、激怒してしまいます。

夕暮れ時、庭にはスザンナの格好をした伯爵夫人が現れました。そこにケルビーノがやってきて、彼女をスザンナだと勘違いしちょっかいを出します。さらにスザンナを呼びに来た伯爵や、妻の裏切りを目撃しようとしたフィガロがやってきて、夜の庭は大混乱に陥ります。

フィガロとスザンナの和解。そして大フィナーレへ

1人になったフィガロのもとに、夫人の格好をしたスザンナが登場。フィガロは目の前の伯爵夫人がスザンナであることを瞬時に見抜きますが、スザンナへの見せしめとして伯爵夫人を口説こうとします。スザンナは激怒し、フィガロに平手打ちをくらわしました。結局2人は仲直り。そこへ再びスザンナを探す伯爵が近づいてきます。

フィガロは伯爵夫人に扮したスザンナを口説き、スザンナも夫人の声真似をしてそれに応えます。フィガロが妻を口説いていると勘違いした伯爵が、大声で皆を呼びます。フィガロは土下座をして許しを請いますが、伯爵は怒り心頭です。

そこへついに、スザンナの変装をした伯爵夫人が現れたのです。その瞬間、伯爵は全てを理解し、伯爵夫人に心からの謝罪をして許しを請いました。伯爵夫人は笑って伯爵を許し、ハッピーエンドで幕を閉じます。

オペラの醍醐味!『フィガロの結婚』の有名なアリアを解説!

オペラの醍醐味といえば、登場人物たちが様々な感情を乗せて歌う「アリア」です。ここでは『フィガロの結婚』のストーリーを彩る個性豊かなアリアについて解説していきます。

第1幕『Non piu andrai farfallone amoroso(もう飛ぶまいぞ、この蝶々)』

第1幕の最後にフィガロによって歌われる、勇ましいメロディーが特徴のアリアです。軍隊行きを命じられたケルビーノに対し、もう女性たちの憩いの場にはやってこれないぞ!と歌います。タイトルにもある「farfallone」はイタリア語で「伊達男」の意味です。一見女性が大好きなケルビーノに対しての言葉にも見えますが、「浮気男」の意味も含んでいるため、伯爵に対しての嫌味だと解釈されることもあります。

第2幕『Voi che sapete(恋とはどんなものかしら)』

第2幕の着替えのシーンで、ケルビーノが伯爵夫人に披露するアリアです。「昼も夜もため息をついてばかり。でもこうやって思い悩むのが楽しい」という歌詞には、恋をしたことがある人なら誰でも共感できるのではないでしょうか。美しい旋律も相まって、『フィガロの結婚』の中でも非常に人気があるアリアで、演奏会などで単独で歌われることもあります。

第3幕『Dove sono i bei momenti(楽しい思い出はどこへ)』

スザンナが手紙を書きにやってくる前に、夫人が部屋で一人ひっそりと歌うアリアです。伯爵の心変わりに傷つきながらも、「私の真心で伯爵の心を変えてやる」と思い続ける伯爵夫人の強い意志に心打たれます。この時代のオペラアリアによく見られる超高音や超絶技巧はないものの、美しい響きを保ち続ける高度なテクニックが求められる難曲です。

『フィガロの結婚』は難しくない!

『フィガロの結婚』は一見複雑そうに見えるものの、ストーリーのポイントさえ押さえておけば難しくありません。モーツァルトの真骨頂である美しいアリアや計算しつくされた重唱を楽しみつつ、現代の私たちとも重なる所のある登場人物たちに思いを馳せてみましょう。

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