自己責任論とは?【貧困との関連性と問題点】

2020年3月3日

自己責任論とは?【貧困との関連性と問題点】

どうも、とらよし(@moritora810)です。今日は自己責任論について思うことがあるので、考えをアウトプット&シェアしたいと思います。今日は自己責任論と貧困が主なテーマですが、そもそも自己責任論とはなんでしょうか?自己責任論について言語の意味を調べると以下のような意味があるようです。

自己責任論⇒

自分の行動の結果として危機に陥ったのなら、自分で責任を負うべきであり、他人に助けを求めるべきではない、といった論理を基調とする考え方。危険であることが事前に予測できたにもかかわらず、危険を顧みずに敢行したのだから自業自得だとする考え方。

Weblio自己責任論〉より

つまり、自己責任論はその漢字の意味の通り、何か問題が起きた時にそれは自分の行動がそれを引き起こしているから、責任の所在は自己にあるということです。そしてこれが貧困の問題と結びついて議論されることが日本では多いようです。簡単に言うと、「貧しいのは自分の責任である」というものです。なぜこんな話が出て来るかと言うと、一部のお金持ちやエリートがその立場で自己責任論的な主張を行うからです。つまり、「自分が稼いでいるのは自分が努力して来たからである」とか、「今の社会的地位は自分の努力がなし得た結果だ」というものです。

つまり、努力が成果の報酬であるならば、その逆もしかりで、貧困だとか、地位が低いというのは努力の成果の報酬、つまり自己責任による結果であるという考え方です。しかし、ここにはいくつかの危険な思考が存在していると私は思います。

自己責任論の問題点を考える

自己責任論の問題点はなんでしょうか?そもそもの議論として、先ほど述べたような「努力が成果の報酬」というのは正しいのでしょうか?傾向的に、あるいは統計的な話をしたいと思います。

もしあなたが中流階級以上の家庭で生まれたとしましょう。親の年収は、どちらか一方だけで700万~1500万程度は安定してあります。都心部であれば私立の小学校や中学校、高校に通っています。また学習塾にも行きます。ピアノ、バレエ、華道、茶道、英会話、スポーツなどの習い事にも行っていたり、その気になれば通うことができます。

家に帰ると温かいご飯が用意されており、家には犬や猫などのペットがいることもあります。情報を得る機会も多く、インターネットや新聞などの媒体も自由に使うことができます。

生まれたときからから存在する格差

しかし、それに対して、中流階級以下の、一言で言うと貧困の家庭に生まれたとします。親の年収はどんなによくても400万円程度です。酷い場合は200万円以下~100万円前後までさがります。

あなたの家庭には学習塾に行く余裕はありません。学校の授業で分からないことがあったとしても、自分で解決しなければなりません。また、食事も栄養価があるものを毎日食べれるわけでもありません。酷い時は菓子パンを食べて生活しています。

同じ日付に、同じ性別で、同じ地域の2つの家庭に子どもが生まれたとしましょう。例えば30年後、どちらのほうが将来的に収入を稼げるでしょうか?もちろん、人間はケースバイケースです。貧困の家庭で生まれても起業家になることもありますし、裕福な家庭で生まれても精神的な病などで全く社会に参画しないこともあり得ます。

統計的に考える

しかし、傾向と統計という観点から考えると、裕福な家庭で生まれた子どもの方が、将来的に稼ぐ可能性が高くなります。そして、彼ら(彼女ら)はその地位に立った時、自分が努力をしてきた結果だと考えるのです。

「私たちは良い大学へ行くために学習塾に行って毎日勉強をしていた」「人が遊んでいる間に努力をした」ということです。しかし、この例を考えれば分かる通り、この二人が同じように努力をしたとしても、同じ結果にはたどり着かないというのは明らかです。

親が病気であまり稼げないとすれば、学生のときにはアルバイトをしなければいけないでしょう。兄弟がいれば、より一層大変です。環境の違いというものがある限り、努力が成果の報酬であるという考えは短絡的であるように思えます。

貧困は連鎖する

これもよく言われる話ですが、貧困は連鎖すると言われています。親の収入が低い世帯ほど、子どもの収入も低くなりますし、親の収入が高い世帯ほど、子どもの収入も高くなります。これは個人の努力どうこうの話ではありません。

これは考えてみればある程度当然のことで、生活の水準が高ければそれを基準にして給与を見るでしょうし、そうでなければ低い給与でもある程度満足することができます。

もちろん、先ほど述べた環境の違いもあるでしょう。経済的なことだけで個々の事情を判断することはできませんが、自己責任論の問題点は、あたかも自分の給与が低いことや、いわゆる貧困であることが、自分の責任であるかのように論じられる点です。

環境と貧困

例えば日本は「就職氷河期」という時代がありました。2019年時点で30歳半ば~40歳の人たちです。この人たちは就職先もなく、現在でも日雇い労働や派遣、アルバイトなどで生活を立てている人たちが大勢います。これは私がここ10年間で学生時代も含めてアルバイトをしていてよく感じたことです。この世代の人たちで非正規雇用は本当に多い印象があります。

では、これらの人たちは能力が低いことが原因で、自己責任論的に就職が出来なかったのかと言えば、やはりそうとも言えません。逆に、能力が低くても景気が良ければ就職先は沢山あります。実際に、能力が高くない、セクハラやモラハラし放題のおじさんも管理職でいたりします。これはそういう時代に就職した人たちがそのままそこに居座っているだけの話で、能力とは関係ありません。

こう考えていくと、自己責任論はある意味で非常に身勝手であり、不寛容な考え方であるといえます。たとえどんな地位の人であっても、いつ自分が働けなくなるのか、あるいは自分の身近な人が不慮の事故や病にあったとき、それでも自己責任論を問えるのかと言えば、それは無理な話です。貧困や社会的に不利な状況に置かれている人たちほど、社会全体で支援していかなければ日本の未来はないと私は思います。

自己責任論の適用範囲

そもそも人間の責任とはなんでしょうか?例えばわたしが万引きをしたとします。そして警察に捕まったとしましょう。わたしは責任を取らなければいけません。日本は法治国家であり、それが社会におけるルールです。お店は困りますし、それを許せばみんな盗んでいいことになります。

あるいは、責任とは自由の代償だと言う考え方もありますが、これも少し違和感を覚えます。なぜなら、例えばあなたがスーパーマーケットで牛乳を買ったとします。安い方と高い方があって、安い方を買いました。その結果、健康被害が出たとしても、それはあなたの責任ではなくて、牛乳を売った人たちの安全管理の問題になります。なぜなら、それは同様に、高い方の牛乳を買っても被害にあったかもしれないからです。

選択と責任

あるいは、働かない選択をしたとしましょう。それで貧困になったら自己責任と言うのかと言えば、やはりそれも違うのです。家が資産家だったらどうでしょうか?そこにそもそも責任という考え方が介入できないはずです。自由に生きることや選択することと責任はそもそもは別の考え方です。ここを突いてくる人たちは、おそらく単純に羨ましいからそう言ってるだけです。

このように見ていくと、責任というものが社会から付与されるのは、他者に実害を与えたときだけです。それにも関わらず、貧困や仕事をしていないこと、病気、その他なんでもいいですが、自己責任論が好きな人はその人自身に責任があるかのような言い方をします。これは人を責めることによる快楽、あるいは自己を肯定するためのプライドからきている、不寛容な思想です。なぜなら、自己責任論の適応範囲は非常に狭く、家庭環境や社会の置かれている状況といった、周辺環境による影響を無視することは出来ないからです。人間のおかれているシチュエーションはケースバイケースであるため、何かしらの責任を100%個人に求めるのは難しいと考えられます。

自己責任論の限界

自己責任論は論理としては無理があります。私は、責任というものは、社会や個人に実害や悪影響、不利益を与えたときに必要な考え方だと思います。それは例えば嘘をついたとかです。安全とか言っておきながら危険だったとか、法律などで決められていることを破って、会社や個人の利益を優先したとかそういうときです。

それに対して、貧困などの問題は自己責任論ではどうすることもできません。なぜなら、もし全てが自己責任であるならば、「独力をしている⇒しかし貧しい⇒なぜだろうか?⇒自分には価値がないからだ」という負の連鎖が生まれてしまい、結果として自尊心が崩壊するからです。逆に、自尊心を保った状態でこの思考になれば「努力をしている⇒しかし貧しい⇒なぜだろうか?⇒それは社会が間違っているからだ」という方向に行きつきます。これは結果的に、社会に対する無差別の攻撃として現れてきます。これは怒りと貧困とも関係があります。

今後の自己責任論

自己責任論による考え方はこれから減少していくだろうと思います。なぜなら、人口の減少と経済の衰退が避けられない日本は、社会全体が貧困に向かうからです。

つまり、ここにはまた新しい価値観と方向性が必要になるのだろうと思います。それはより精神的なものになると思います。そしてある意味で、また集合体としての共通の価値観や思想が求められはじめると思います。それではまた!

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