アレクサンダーテクニークとは?【やり方を解説】声楽、発声

2019年7月5日

アレクサンダーテクニークとは?【やり方を解説】声楽、発声

Herzlich Willkommen!! どうもTorayoshi(@moritora810)ことボイストレーナー&声楽家の森善虎です。今回はアレクサンダーテクニークのお話をしたいと思います。実は、これまでに取り扱ってきた呼吸のことや身体のバランスのことなど、殆どがアレクサンダーテクニークを元に解説を行っています。

アレクサンダーテクニークとは一体何なのでしょうか?今回は「アレクサンダーテクニークの考え方」と、その基本となる考え方である「ボディ・マップ」について学びましょう。それによってあなたはアレクサンダーテクニークが一体何なのか理解することができるはずです。

アレクサンダーテクニークとは?

アレクサンダーテクニークは19世紀にオーストラリア人であるF. M. アレクサンダーさんが提唱した方法論です。彼はシェイクスピアなどの劇を朗読する役者でした。彼は舞台で声がかれたり、うまくでなくなるという症状に悩まされていました。医者にいくと、「数週間の間、舞台に立つ前は声を休めるように」と助言を受けました。しかし、声を休めている間は何の問題もありませんでしたが、やはり舞台に立つと声をうまく扱うことができませんでした。

そこで彼は、声が出なくなる原因は自分の喉などの構造にあるのではなく、使い方に問題があるのではないかと考えはじめます。彼は鏡を使って自分がセリフを発するときに身体がどういう動きをしているかを観察するようにしました。

そうしたところ、自分でも無意識に気付かずに動作していた自分を邪魔する動きに気づき、それを止めようと試みました。そんな試行錯誤の中で、そういった無意識の動作をしないためには、口や喉周辺だけではなく、身体全体の使い方を変えていかなければいけないということに気づいたのです。

その中でも特に、頭&首&胴体(身体)の3つが上手く連携している状態が重要であると考えました。 なぜなら、頭と脊椎とのあいだの緊張が少なく、胴体(身体)と上手く連結しているとき、実際に声も出るようになったからです。彼は、「頭と背骨全体の機能を邪魔していなければ、その人全体がうまくはたらく」という原理を提唱し、それを「プライマリー・コントロール(primary control)」と呼びました。

更に研究を進めた上で、彼は次の2つの考え方を取り入れると上手くいくと考えます。それは、

  • 抑制すること(inhibition)」無意識的な自分自身を邪魔する動きを防ぐこと。
  • 方向性を思うこと(direction)」…動作を行う前にどう動かせば良いかを思い描くこと。

彼はこの2つの考え方を取り入れることによって、これまで「感覚」によって行っていた動作(演劇の人なら身体を動かす、セリフを話す、歌の人なら歌う、ピアニストならピアノを弾くという動作)を、もっと具体的な方向性と自意識のコントロールで行うことができるようになります。このメソードを使って、自分自身のパフォーマンスを向上させようという考え方が「アレクサンダーテクニーク」です。

ボディ・マップとは

それでは具体的にアレクサンダーテクニークでは何を学んでいくのでしょうか?アレクサンダーテクニークでは「ボディ・マップ(ボディマッピング)」というものを学ばなければなりません。歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のことの中では次のように述べられています。

ボディ・マップとは、あなたの頭の中でイメージされている身体の大きさ(サイズ)や構造・機能のことです。これは歌手にとってこのうえなく重要です。なぜかというと、身体の動きが適切かどうかは、ボディ・マップによって決まり、マップの完成度に左右されるからです。ボディ・マップを修正し、洗練することができれば、身体の動きは改善されて、その結果として、歌は上達していきます。

出典:《歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと 12ページ》

ボディ・マップの目的を噛み砕いて言うと、「自分の身体のことを正しく理解して、それを使おう!」ということです。もう少し具体的に言うと「どこにその筋肉があって、どう機能するのか」ということです。本の中では、その理解度によって働き方に差が生じると述べられている。そのため、それらを学ぶことで歌唱に役立てようというのです。ボディ・マップには、

  1. 「大きさ」
  2. 「構造」
  3. 「機能」

の三つの要素があります。細かい部分についてはここで取り扱えきれないので、詳しく学びたい方は《歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと, ピアニストならだれでも知っておきたい「からだ」のこと, 音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと―アレクサンダー・テクニークとボディ・マッピング 》あたりの購入をお勧めします。

更にここからボディマッピングを深めて、「筋感覚」というものと、「包括的認識力」についても少しふれておきたいと思います。どちらの言葉も本書ではこのように述べられています。

筋感覚とは、人間が持っている6つめの感覚で(いわゆる「五感」とは違って、忘れられがちな感覚です)、身体が動いていることを知覚する感覚です。筋感覚として身体の動きを知覚することができると、動きの大きさや場所、その質の違いなどをはっきりと区別できるようになります。その能力は、美しく健やかで、あなたの歌が聴く人のこころに届くようになるには、欠かせない能力です。

包括的認識力というのは、あなたの内と外とで起こっているすべての経験をはっきりと感知して、それらを総体的な気づきとしてとらえる能力のことです。筋感覚はこの「包括的認識力」の一つです。

出典:《歌手ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと 2ページ》

筋感覚

筋感覚を噛み砕いて説明すると、筋感覚とは、動いているときの身体の感覚のことです。例えば、目を閉じると筋感覚は鋭くなります。目を閉じた状態で呼吸を意識すれば、息を吸う為のが動いていることを筋感覚としてハッキリと感知することができますし、どこかに力を入れればそれを感じることができるはずです。このように、筋感覚は目で見ることが出来なくてもその部分に実際それが存在していて、その位置や動かす速さ、動きなどを感じられます。この感覚を訓練することは、歌手や音楽家にとってとても重要なことです。自分の身体の鍛えたい部位を意識してトレーニングすることで、普段の発声や歌唱、あるいは演奏はまた違ったものになるはずです。

包括的認識力

包括的認識力というのは、自分と世界とを同時に感じる能力です。先ほどの筋感覚もそれに含まれます。この能力を理解するために注意力との違いについて考えていきましょう。注意力には3つのタイプがあります。それが、

  1. 「集中力」
  2. 「すばやい気配り」
  3. 「包括的認識力」

です。まず1の「集中力」ですが、これはひとつの物事にだけ向けられる注意力であり、限定された能力です。イメージとして例えば、「一曲を通してピッチを合わせる」ということにだけ集中するという様な場合です。これはいわば、懐中電灯である一点を照らしてそこにだけスポットライトを当てている状態と言えます。

これと関連して、2の「すばやい気配り」は、次々と集中力を変えていくことを言います。懐中電灯を次々と色々なところに当てるのをイメージしてください。例えば、「ピッチを合わせる」ということから、「呼吸に集中する」ということであったり、「ここでは身体をリラックスさせて」のように、集中力が次々と移動します

最後に、「包括的認識力」は、前の二つが世界を切り取ったものであるのに対して、逆に様々な要素を結び付ける力となります。先ほどの注意力という懐中電灯を持っていたとして、あなたは何歩か後ろに下がることで、歌うのに(演奏するのに)必要な全ての要素を照らし、その光の中に取り込むことができるようにすることです。それこそが演奏に必要な全てであり、包括的認識力ということです。

例えば指揮者が音程に注意を払いながらリズムやテンポにも気を使い、更にはソリストの息遣いや間も感じながら、出だしの合図を送れるのは、こういった包括的認識力を備えていると言えます。歌手の場合は、声のバランスやピッチ、音色、呼吸に関わる筋肉の感覚や聴衆の反応等、そのすべてを関連付けしながら認識しながら歌うことです。それはあなたの身体の内にある気づきが、外の気づきと同時に統合されているからです。包括的認識力を使うことで、これらの要素を同時に認識することができます。何かを排除する必要はありません。この能力はあなた自身の「気づき」を自分の身体の中と、外部の世界との両方に拡大させていく能力であると言えます。そうやって、全てを包括して認識することによって、その瞬間その瞬間で一番必要なこと重要なことに簡単に注意を向けることができるのです。最高の歌手、ダンサー、アスリートなどは自然にこの統合された認識力を使っているといわれています。この能力は開発することができ、誰でも訓練次第で身に着けることが可能です。


まとめ

演奏家は必ず自分の身体と向き合う必要性があります。それは歌手に限らず、どんな楽器であってもそうです。なぜなら、身体の使い方はそのまま技術に直結し、もっと言えば精神的な余裕や心の状態とも関係性があるからです。演奏を感覚ではなく、確信的な方向性を持って演奏できれば、舞台の上でこれほど確かなものはありません。

私自身もこのアレクサンダーテクニークに出会ってから身体の考え方や捉え方が変わりました。それは明らかに演奏がしやすくなったと感じています。もし今伸び悩んでいたり、新しいメソードを勉強してみたいと思っている方がいたら是非試してみてはいかがでしょうか!?

それではまた次回!Bis bald~!


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それでは、皆さんの人生が音楽でより豊かになることを!Enjoy music!!

 

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