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フランスオペラの歴史と有名なオペラ&作曲家を解説!

フランスオペラの歴史と有名なオペラ&作曲家を解説!

オペラは、音楽、舞踊、歌、詩、絵画や衣服など多様な分野の芸術が融合したものです。イタリア語で「作品」を意味するオペラというジャンルは、作り手にとって「完璧」「すべての芸術がひとつになる」という真髄を表しています。演劇と同じように、オペラもいくつかの幕に分かれており、テキストは朗読ではなく歌で表現されます。

フランス・オペラの歴史が本格的に始まったのは17世紀で、コルネイユ、モリエール、ラシーヌといったフランス演劇の黄金期であったルイ14世の時代です。

1645年、イタリア・オペラの上演に熱心であった主席国務大臣マザランの手立てにより、ルイ14世の宮廷でヴェネツィアの一座によって「ラ・フィンタ・パッツァ」が上演されます。

公演は大成功に終わり、オペラに感激を受けたルイ14世はパリとヴェルサイユの宮廷を中心にオペラの発展を進めていきます。

フランスオペラ『ポモネ』の誕生

1671年、フランス語による初のオペラ「ポモネ」が登場します。作曲家のロベール・カンベールは現在、フランス・オペラの「父」といわれています。彼は、詩人ピエール・ペランと協力し、パリで最初の抒情詩劇場の開幕に合わせて、この牧歌的なオペラを作曲したのです。その後「ポモネ」は、13カ月間で146回もの公演が行われました。

オペラの普及を目指したルイ14世は、21歳のジャン=バティスト・リュリを室内楽作曲家、舞踏家に任命します。

イタリアで生まれたリュリは、14歳のときにパリに移り住みました。リュリはその後、王立音楽監督に任命され、独占的な地位を享受し、1672年に王立音楽院(現在のパリ・オペラ座)を設立します。

リュリは台本作家のフィリップ・キノーとタッグを組み、イタリアオペラとの差別化を図るため、舞踏音楽と合唱が組み合わさった音楽ジャンルである「叙情悲劇(tragédie en musique)」を創作します。この叙情悲劇は、17世紀から18世紀にかけて、リュリ、ラモー、グルックのトリオで全盛期を迎えます。

フランスオペラの『叙情悲劇』

叙情悲劇は、フランスで最も上演されたジャンルであり、17世紀から18世紀にかけて成功を収めました。

この音楽ジャンルは一般に以下のように構成されています。

  • 荘厳な器楽の序曲(「フランス風序曲」)
  • プロローグ:と同じ構造を持つ。
  • 5幕:独唱、合唱、レチタティブ、器楽の間奏と舞踏を組み合わせたもの
  • 器楽のアリア、シャコンヌ、パッサカリア、あるいはいくつかの短い舞曲

フランス・オペラは、1673年に発表されたリュリによる初の叙情悲劇「カドミュとハーマイオニー」の成功によって発展の幕を開けます。

リュリはその後、1674年から1686年にかけて、「テゼ」「アティス」「ベレロフォン」「アルミード」など12のオペラを作曲していますが、テキストと音楽を同等に扱うことを特に重要視していました。

フランスのオペラ界を発展させたリュリですが、コンサート中に指揮棒で誤って足を強打し、その傷口に酷い壊疽を起こしたことが原因で1687年に亡くなります。

リュリからラモーへ

リュリの後に続いた叙情悲劇の音楽家はジャン・フィリップ・ラモーです。彼はリュリの作風であったテキストの重要性を尊重し、ヴォルテールなどの作家や、ルイ・ド・カフサックと定期的に共同作業を行いました。しかし、ラモーは、より洗練されたオーケストラの色彩やリズムの多様性、舞踏の精神に根ざした音楽形式を提案することで、リュリとは一線を画した作曲家でした。

保守的なリュリ派による逆風がありましたが、1733年から1763年までの30年間、ラモーはバロック時代の特徴である抒情悲劇やオペラ・バレエを次々と作曲しました。

オペラ・バレエとは17世紀に登場したジャンルで、観客を楽しませるために作られました。4幕または5幕で構成され、それぞれが独立しているものの、同じテーマに沿って構成されています。ストーリーはシンプルなものが多く、ダンスが非常に重要な役割を果たしていました。オペラ・バレエは、ルイ14世の死後、抒情悲劇から人気の座を勝ち取りました。

代表的な作品に、ラモーの「優雅なインドの国々」があります。1735年に誕生したこの作品は、一般に、オペラ・バレエのジャンルとして最高傑作とされています。また、ラモーのオペラ作品の中で、今日最も多く演奏されている作品です。

外国生まれの作曲家の躍動

フランス・オペラはグルック、ロッシーニ、ヴェルディ、オッフェンバックなど、多くの外国生まれの作曲家によっても発展していきます。

19世紀に政治的、経済的にヨーロッパを支配したフランスは、パリを拠点として、ヨーロッパ中から芸術家を集めました。ナポレオン時代には、パリにイタリア・オペラ専門の歌劇場であるイタリア座があったこともあり、多くのイタリアを代表する作曲家たちが、フランス・オペラへの挑戦とやりがいに惹かれてパリに移り住んだのです。

またこの時期は、フランス、ドイツ、イタリアでロマン主義が発展し、オペラにも影響を与えました。

19世紀にパリで生まれたグランドオペラでは多くの外国人作曲家が活躍しました。このオペラは名前にあるように、大勢のキャストとオーケストラ、豪華な舞台装置、壮大な舞台効果によって特徴付けられています。

ドラマチックな歴史的事件を題材にしたものが多く、この様式は、ドイツ人作曲家ジャコモ・マイヤベーアの「ロベール・ル・ディアブル」(1831年)や「ユグノー教徒」(1836年)などで頂点に達しました。

シャルル・グノーの名作「ファウスト」(1859年)は、19世紀半ばのフランス・オペラを代表する作品であり、20世紀に入ってもなお、その人気は衰えることがありませんでした。

グランドオペラにはその他にも、イタリア人作曲家ロッシーニの「ギヨーム・テル」(1829年)やヴェルディの「ドン・カルロス」(1867年)など、今日にも多く演奏される有名作品が存在します。

オペレッタの影響を受けたフランスオペラ

外国人作曲家が活躍したその他のジャンルに、1860年頃から発展した「オペレッタ」があります。このオペラは軽快な喜劇で、ドイツ系ユダヤ人のジャック・オッフェンバックが有名な作曲家として挙げられます。

彼はオペレッタを通して、第二帝政期のパリの気ままな気風を体現し、揶揄することに成功しました。

オッフェンバックの「盗賊」(1869年)は、オペラ・ブッフ(オペレッタのジャンルの一つ)の中でも最も有名な作品の1つです。その他にも、「冥府のオルフェウス」(1858年)や「ホフマン物語」(1881年)など、数多くの人気作品を発表しています。

フランスオペラ「花の時代」到来

19世紀後半は、フランス・オペラの歴史の上で「花の時代」でした。この時代の主な作品には、シャルル・グノーの「ファウスト」や「ロミオとジュリエット」、サン=サーンスの「火の鳥」や「サムソンとダリラ」、そしてジュール・マスネの「マノン」「ウェルテル」や「タイス」、「カンディリオン」など現代でも有名なオペラが数多く登場します。

この時代の作曲家の中でも特に異彩を放つのがジョルジュ・ビゼーです。彼の代表作である「カルメン」は、1875年、彼が36歳の時に亡くなる2ヶ月前にオペラ・コミック座で初演されました。

日本においてフランス語で上演されるオペラの中で一番有名な作品といえるでしょう。特に「ハバネラ」のアリアや、「闘牛士の歌」などはなじみやすいメロディーなので多くの人が聞いたことがあると思います。

このアリアはアルト、メゾソプラノ、ソプラノの声楽パ-トに適していますが、登場人物のカルメンのドラマティックな役柄を考えるとメゾソプラノが最も適任です。

ドビュッシーの革命的なオペラ『ペレアスとメリザンド』

20世紀のフランス・オペラを代表する作曲家としては、ドビュッシーの革命的な「ペレアスとメリザンド」(1902年)があります。このオペラではアリアとレチタティーヴォが融合されており、フランス語の言語的特徴と音楽が一塊となって存在しています。

その他にも、モーリス・ラヴェルの「スペインの時」(1907年)や「子供と魔法」(1925年)という2つの短いオペラが有名作品として挙げられます。

20世紀後半以降のフランスのオペラといえば、フランシス・プーランクのフランス革命前後におけるカルメル会修道女の処刑を題材としたシリアスな「カルメル派修道女の対話」(1957年)やオリヴィエ・メシアンの「アッシジの聖フランチェスコ」(1983年)が有名です。

フランス・オペラは、イタリアオペラに触発を受けて発展しました。フランス独自の音楽性を確立するために、フランス人作曲家だけではなく、多くの外国人作曲家の才能により現在でも演奏される名作オペラが登場します。

フランス語で上映されるオペラとして有名な「カルメン」は、後にオペラの帝王ともいえるワーグナーに影響を与えており、フランス・オペラの歴史は「オペラ」のジャンルを考える上でとても重要な音楽となっています。

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