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オペラ『ドン・ジョバンニ』の名曲を解説!(W.A.モーツァルト作曲)

オペラ『ドン・ジョバンニ』の名曲を解説!(W.A.モーツァルト作曲)

W.A.モーツァルト作曲、オペラ『ドン・ジョバンニ』には数多くの名曲が登場します。

今回はその中から、『カタログの歌』と『お手をどうぞ』の二曲について解説しましょう。

メロディが美しいだけでなく、このオペラ作品の物語を観客に伝える役割を担っています。

名曲たちがどのような物語を紡ぎ出していくのか、一緒に見ていきましょう。

オペラ『ドン・ジョバンニ』を知らない方はこちらから粗筋を確認できます!

関連リンク:オペラ『ドン・ジョバンニ』を初心者に分かりやすく解説!(W.A.モーツァルト作曲)

ドンジョバンニの登場人物・声種

  • ドン・ジョバンニ(バリトン)
  • レポレッロ(バス)
  • ドンナ・アンナ(ソプラノ)
  • ドン・オッターヴィオ(テノール)
  • ドンナ・エルヴィーラ(ソプラノ)
  • ツェルリーナ(ソプラノ)
  • マゼット(バリトン)

簡単解説:ドン・ジョバンニの女性関係を歌う『カタログの歌』(オペラ・ドンジョバンニより)

「第1幕 第2場」で、レポレッロ役(バス)によって歌われるアリアです。

ドンナ・エルヴィーラ(ソプラノ)という美しい女性が登場するのですが、彼女はジョバンニに裏切られて捨てられました。

彼を忘れられないエルヴィーラは悲嘆に暮れていました。

この場面では、ドン・ジョバンニがどんなに女癖が悪い男であるのか、アリアに乗せて伝えます。

〜ポイント〜

レポレッロはドン・ジョバンニの召使いです。主人が女性を口説く度に、求愛を手伝っています。そして、落とした女性の名前を綴った名簿を作らされているのでした。

『カタログの歌』が伝える物語(オペラ・ドンジョバンニ)

レポレッロは「主人が落としてきた女性たちの名簿」を取り出して、エルヴィーラに語りかけます。このカタログを一緒に見てみましょうと。

カタログのページを捲って、語り始めるレポレッロ。

イタリアでは640人、ドイツで231人、フランスで100人、トルコ91人、そしてスペインでは1003人!

これらは全て、ドン・ジョバンニが愛した女性たちです。

 

彼はどのような女性も愛します。村娘、街の女、侍女、貴族の令嬢、伯爵夫人、なんと王女様を愛したこともあるのですよ。

この名簿には、様々な身分、様々な外見をした女性たちの名前が書かれているのです。

ブロンドの髪を持った女性には、気品があるよと。栗色の髪や黒髪の女性には、おしとやかであると。そして銀髪の女性には優しさを褒めて口説くのです。

冬にはふくよかな女性を選び、逆に夏には痩せている女性を選ぶ。

身長が高い女性には誇り高く見えて素敵だと言い、小柄な女性には可愛いねと声を掛けます。

おばあちゃんと呼ばれる年齢の方も狙います。それは、このカタログに名前を加える楽しみがあるから。

 

でも彼が一番熱心になる相手は、うら若くて初々しい乙女、まだ汚れを知らない乙女です。

彼は愛するんですよ、どのような女性でも。

例え貧乏でもお金持ちでも。美女ではなくても、美しくても。

スカートさえ履いていればいいんです。それだけで彼の愛の対象になります。

そして最後にエルヴィーラに問いかけます。

スカートさえ履いていれば、彼が何をするのか。あなたはよくご存知のはずでしょう。

 

エルヴィーラはこのアリアで、ドン・ジョバンニの女癖がいかに悪いものであるのかを思い知ります。

涙ながらに去ったエルヴィーラは、この後の舞台に大きな波乱を呼び起こします。

 

簡単解説:結婚式を迎える直前の花嫁を口説く『お手をどうぞ』(オペラ・ドンジョバンニより)

「第1幕 第3場」でドン・ジョバンニ役(バリトン)とツェルリーナ役(ソプラノ)によって歌われる二重唱です。

村娘ツェルリーナと農夫のマゼット(バリトン)は、結婚式を挙げる直前で幸せいっぱいのはずでした。

しかし、たまたま通りがかったツェルリーナにジョバンニは一目惚れしてしまいます。

彼女と二人きりになるべく、あの手この手で花婿から引き剥がそうとするジョバンニ。

遂にツェルリーナと二人きりになれたジョバンニが、『お手をどうぞ』を歌い始めるのです。

 

誘うジョバンニ 心が揺れ動くツェルリーナ

 

まずはジョバンニがリードする形で歌い、ツェルリーナに想いを伝えます。

グレーの枠→ドン・ジョヴァンニ
赤枠→ツェルリーナ

 

私の愛しいツェルリーナ。やっと二人きりになれたね。
(マゼット)は私の夫になる人なんです。
あいつがお前の夫に? そんなことは、この高貴な騎士である私が許さない。断じて見逃すことはできないよ。輝くような可愛らしい君、この甘い花のような顔が、あんな汚らしい農夫のものになるのか?
でも彼と私は、将来を誓い合った仲なのです。

そんなの知ったこっちゃない! 君は農夫の妻として人生を終えていいような女性じゃないよ。

別の運命、もっと素敵な人生がある。子猫のようなチャーミングな瞳、愛らしい唇、華奢で美しい手。君はまるで薔薇のような香りがするね。

だめよ! そんなことを言わないで。
どうしてだめなんだい?
きっと私は騙されているのよ。あなたのような騎士は女性に対してふしだらでしょう。私、何も知らないわけじゃないのよ。

それは平民たちが憶測で勝手に言っていることで、真実じゃないよ。貴族の身体に流れる高貴な血に誓って、そんなふしだらなことはしない。

ああ、こんなことを言っている場合じゃない。時間が惜しいよ。ツェルリーナ、私は今すぐにでも君と結婚したい!

あなたが私と!?

そうだよ。見てごらん、あそこに私の別荘がある。二人であそこに行って、愛の時間を過ごしたい。そして私の妻になっておくれ。

別荘で私の手を取って、「はい」と言って愛を誓っておくれ。ほら、すぐ近くだから。

どうしたらいいの? 私はこの人にとても惹かれている。それにこの人を選んだら幸せになれそうだわ。

でも、単に遊びだったら? 本気で愛してると言っているとは限らないわ。

私の手を取って。可愛いツェルリーナ。
マゼットに悪いわ
ほら、君を幸せにしてあげる。私が君の運命を変えてみせるよ。
ああ、やっぱりだめ。自分の気持ちに嘘をつけない!
さあ、私のところにおいで! 「はい」と言って、私のツェルリーナ。
どうしよう。行ってもいいの? やっぱり思いとどまるべき?
行こう! 私の可愛い人。
連れて行って! 一緒に行きましょう。恋の苦しみを癒すために。

 

そしてツェルリーナはジョバンニの腕の中に飛び込みます。

ツェルリーナを口説いてしまったことが、この劇に更なる波乱を巻き起こすことになるのです。

W.A.モーツァルトが表現したツェルリーナの心(オペラ・ドンジョバンニより)

『お手をどうぞ』の二重唱では、ジョバンニがツェルリーナを口説く様子と同時に、ツェルリーナの心の葛藤が歌で表現されます。

二人の歌詞を見ればお分かりいただけると思いますが、甘い言葉を囁くジョバンニに対して、ツェルリーナはすぐに心を開いたわけではありません。

ジョバンニのような立派な騎士が、一人の村娘でしかない自分に本気になるだろうか? 遊ばれているのではないかと、不安を感じるのです。

しかしジョバンニが彼女の容姿を褒め称え、しつこく愛を囁くうちに、ツェルリーナの心が揺れ動きます。この人と一緒になったら幸せになれるかもしれない。貴婦人として、このハンサムで優しい騎士に愛される人生が待っているのかもしれないと。

それでもすぐには「はい」と言えません。

新郎のマゼットに悪いし、本当にジョバンニの手を取っていいのか悩みます。

しかし最終的にはジョバンニを信じ込んでしまい、彼に強く抱きつくのです。

 

この名曲『お手をどうぞ』は、純粋な乙女ツェルリーナの葛藤を見事に表現しているのです。

実際に聞いていただければ、戸惑い葛藤したものの、ジョバンニの腕の中に飛び込んでしまうツェルリーナの心情の変化がよく分かるでしょう。

W.A.モーツァルトが表現したツェルリーナの心についての解説でした。上記を思い出しながら、ぜひもう一度聴いてみて下さいね。

 

ドンジョバンニに有名アリアのまとめ

W.A.モーツァルトが作曲した『カタログの歌』『お手をどうぞ』についての解説はいかがでしたか?

どちらも名曲と呼ぶに相応しい、素晴らしい曲です。

ドン・ジョバンニの女癖の悪さ、そして純粋な乙女の葛藤を音楽で表しているところがとてもおもしろく、観客を惹きつけます。

 

オペラの作中では、他にもW.A.モーツァルト作曲の音楽が登場しますので、最後まで目が離せません。

休日はこのオペラ作品『ドン・ジョバンニ』を観て、名曲に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。

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