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JASRACが音楽教室に潜入!【現役講師が問題点を考察】

JASRACが音楽教室に潜入!【現役講師が問題点を考察】

今日ニュースをみていたら「JASRACが2年前から音楽教室に侵入して調査を行っていた」「この調査員は裁判で法廷に立つ」という内容の記事をみました。それで、話をみていくと「なんじゃそりゃ?」という内容でした。詳しい内容は以下のような感じです。

音楽教室での演奏から著作権料を徴収しようとしている日本音楽著作権協会(JASRAC)が、職員を約2年間にわたって「生徒」として教室に通わせ、潜入調査していたことが分かった。9日には、両者の間で続く訴訟にこの職員が証人として出廷する予定だ。

【画像で解説】音楽教室に潜入した職員が考えたこと「まるで演奏会、これなら…」

■職員は「主婦」、発表会にも参加

潜入調査についてJASRAC広報部は「演奏権は形に残らず侵害されやすい権利。調査は利用の実態を把握し、立証するために必要だ」と説明している。

訴訟では、教室での講師や生徒の演奏が、著作権法が定める「公衆に聞かせる目的の演奏」に当たるかどうかが争われている。

JASRAC側が東京地裁へ提出した陳述書によると、職員は2017年5月に東京・銀座のヤマハの教室を見学。その後、入会の手続きを取った。職業は「主婦」と伝え、翌月から19年2月まで、バイオリンの上級者向けコースで月に数回のレッスンを受け、成果を披露する発表会にも参加した。

陳述書によると、レッスンでは講師の模範演奏と生徒の演奏が交互に行われた。JASRACが著作権を管理する「美女と野獣」を講師が演奏した際は、ヤマハが用意した伴奏音源とともに弾いたため、「とても豪華に聞こえ、まるで演奏会の会場にいるような雰囲気を体感しました」と主張している。また「生徒は全身を耳にして講師の説明や模範演奏を聞いています」と記している。

「Yahoo!ニュースから」

現在、JASRACは大手の音楽教室に対して、著作権料の支払いを求めて裁判をしています。

これはJASRAC側が、音楽教室が普段レッスンで行っている活動にも著作権料が発生すると主張しているからです。記事にもある通り、問題になっているのは音楽教室で扱う楽曲が「公衆に聞かせる目的の演奏」にあたるかどうかというところです。

そこで今回の問題点を現在ミュージックスクールで現役でボーカルを教えている私が解説したいと思います。

今回の潜入調査の問題点

今回のJASRAC側が行っていた潜入調査には以下の2つの問題点があります。

  • JASRACの職員が行っていたということ。
  • 調査人数が少ないということ。

Twitterでも意見がありましたが、まずこういった調査は第三者が行わないと意味がありません。なぜなら、JASRACの職員が行えば、それは当然ながらJASRACに有利な証言や内容になるからです。こんなの当たり前ですよね。

つぎの問題は人数が少ないことです。当然ながら、今回の論点である「公衆に聞かせる目的の演奏」であるかどうかという点は、個人の主観や恣意性が含まれます。そもそも、レッスンを受講する側が「私は公衆に聞かせる目的で演奏する!」と思った時点で、それはそういう意味合いになります。

そのためここで重要なのは教える側」と「レッスンを受講する側」、両者にどのくらいそういった認識(公衆に聞かせる目的の意図)があるのかということです。

実際の現場の話

実際の現場の話をさせてもらうと、この論点になっている「公衆に聞かせる目的の演奏」を意識してレッスンをしている生徒は全体の5%ぐらいです。つまりこれは、本当に真剣にプロになろうとしている人たちです。

そもそも歌のレッスンに関して言えば、レッスンに来る人たちの半分は歌が苦手だから来ます。そんな人たちが「公衆に聞かせる目的の演奏」をするはずがありません。あとの人たちは最初にあげたプロ指向の人を除いて「歌が上手くなったいいな~」ぐらいの認識です。

では次に、私たち講師が生徒に聴かせるために模擬演奏をするかというと、そんな馬鹿な話はありませんし、あんまり音楽家をなめないでいただきたいです。

我々が演奏をするときは、ちゃんと準備して練習して、そしてようやく演奏します。ちょっと声を出したり歌ったからといって、それを「公衆に聞かせる目的の演奏」だと言われた日には演奏の質という概念が存在しないと言っても良いでしょう。

とにかく、我々講師は「公衆に聞かせる目的」のために演奏をしようと思っていません。

なぜこの認識が重要になるかと言えば、教える側と生徒側ではレベルに差があるのは当然だからです。たとえば、初めて歌を勉強する人がプロの演奏を聴けば「まるで演奏会みたいに素敵だ~!」と感じることもあるかもしれません。しかし、ここで重要なのは「演奏する側」が「公衆に聞かせる目的の演奏」をしたかどうかという点です。

そのため、前の項目で述べたように、「演奏する側の演奏に対する認識」について考える必要があるのです。

もし「公衆に聞かせる目的の演奏」を意識した人たちをあぶりだすのであれば、入会するときに生徒がプロ指向かどうかで分けて料金を分けるしかないと思います。

しかしそんな頭悪いやり方が上手くいくとも思いませんが…。

著作権を守るのは大切なこと

もちろん、著作権を守るのは非常に大切なことです。私も演奏会で著作権のある曲を演奏したら申請します。(※とはいってもクラシックの演奏会は著作権切れてる作品が殆どですが。)

しかし、この音楽教室の現場で著作権料を取るのはやはりいかがなものかと思います。それは単純に、音楽を学ぶハードルが金額面で上がってしまうからです。当然、著作権料の支払いが発生するなら、各音楽教室は1レッスンあたりの料金を引き上げるでしょう。

JASRACは「音楽の普及」を目的のひとつの掲げているのにこれは完全な矛盾ですよね。

音楽教室が主催する発表会などでそういった著作権のある楽曲を使用するときは著作権料を支払うべきだと思いますが、マンツーマンレッスンの現場で著作権料が発生するのは馬鹿げています。

ということで最終的なまとめです。

  • 潜入調査は第三者じゃないと意味がない。
  • 「公衆に聞かせる目的の演奏」は教える側と生徒の間でレベルが違うので、「受け取る側」ではなくて、「演奏する側に」そういった認識があるかどうかがより重要。
  • 実際の現場でそういった認識を持っている人はプロになりたい人たちだけ。
  • JASRACは権利を独占してるので基本的に調子乗ってる。

当然ですが、楽譜の使用料や発表会などでは支払うべきですよ!現場からは以上でした!

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